私たちの身体は、約400個の「骨格筋」という筋肉によって支えられています。骨格筋には姿勢を保つはたらき以外に、エネルギーを消費する基礎代謝に関係しています。筋肉をつけることで、基礎代謝が高く脂肪を蓄積しにくい「太りにくい」身体をつくることができます。
タンパク質の合成スピードが上がり、
筋肉がつきやすくなります。
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシンはBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれています。これらの混合物は、スポーツ用サプリメントの成分として広く用いられています。BCAAは筋肉中に多く存在するアミノ酸で、運動中に失われやすい成分です。また、筋肉を構成しているタンパク質をつくるスピードを調節するはたらきもあります。レジスタンス運動をしている男性17名が8週間毎日14g/日のBCAAまたは炭水化物を摂取すると、BCAA摂取群では、 8週間後に炭水化物摂取群に比べ、上半身および下半身の筋力が向上しました。筋肉量は筋タンパク質の分解と合成のバランスで決まるので、BCAAを摂取したとき、筋肉がよりつきやすくなっていると考えられます。
*p<0.05, **p<0.01 vs 炭水化物、Mean±SEM
Dudgeon WD.J et al., Int Soc Sports Nutr.,13(1),2016
体内のエネルギーをつくり出す経路を活性化し、運動パフォーマンス向上効果が確認されています。
アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促す効果が期待されます。アルギニンは、筋肉アップと深い関係がある成長ホルモンの分泌を促すアミノ酸です。アルギニンを摂取することで成長ホルモンの分泌が増加。約1時間半後に分泌のピークを迎えます。成長ホルモンの分泌量は20~30代を過ぎると減少するといわれますが、こうした加齢による成長ホルモンの分泌量低下もアルギニンの効果的な摂取で補える可能性があります。遊離アミノ酸の1つであるオルニチンもアルギニン同様に成長ホルモン分泌促進効果があることが報告されており、アスリートを対象とした試験ではオルニチンとアルギニンの組み合わせ摂取による成長ホルモン分泌促進効果も確認されました(Zajac A et al., 2010)。また、アルギニンは体内のエネルギーをつくり出す経路や脂肪分解に関連する代謝経路活性のほか、臨床試験では一酸化窒素(NO)の産生を介した血流量の増加などによって運動パフォーマンス向上効果が確認されていることから、運動効率を高めることで筋力アップやダイエットをサポートするアミノ酸の1つといえます。1.5gまたは3.0gのアルギニンを4週間毎日摂取した健常男性31名で、プラセボ※を摂取した19名より、運動能力が向上したことが確認されました。
※プラセボとはアルギニンの入っていない試験食品のこと。
*p<0.05 vs プラセボ、Mean±SEM
PWCFT :physical working capacity at threshold
Camic CL., et al., J Strength Cond Res., 24(5):1306-12, 2010